何と言ってもこの曲『ホルスト:組曲《惑星》』の名声を高めたのは、この録音でしょう。それと共に超優秀録音でもあります。 — カラヤン指揮ウィーン・フィルの英DECCAでの録音。このレコードについて回る常套句となっていると言えそうです。今ひとつ同様なものはカール・ミュンヒンガー指揮シュトゥットガルト管弦楽団の『ヴィヴァルディ:組曲《四季》』ですが、いささかこちらは『イ・ムジチの《四季》』が一般的であるようですね。
写真は英DECCA盤ではなくて、米LONDON盤の初期盤。ジャケットはブルー・バックで、レコード盤のラベルには溝が有りました(ffssラージ・ラベル)。この盤を扱ったのは3年、4年ほど経ってますが、「カラヤン指揮ウィーン・フィルの《惑星》は、英DECCA盤でも見つけやすいタイプのレコードで、米LONDON盤で初期盤でも、8,000円でした。英DECCA盤でもED4だと4,000円ぐらいで入手しやすいでしょうね。 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/c4020056.html
何度か英DECCA盤も聴きつぶしてきましたけれども、1stラベルを聴いた時には驚きましたよ。音に気迫がある。
第1曲《火星》の冒頭、コントラバス、チェロの弦楽器群の低音の迫り様は、暴れ狂う重戦車を思わせる。《火星》には『戦を司る神』と、ホルストは副題を付け加えています。
この重戦車は、古代ローマを舞台にした映画『ベン・ハー』や、映画『グラディエーター』に出てくる馬で牽かせた戦車だ。
カラヤン指揮ウィーン・フィルの《惑星》での《火星》は、機械の戦車だと感じながら聴いていたのですが、土埃を舞い上げる様、砕ける木の匂いが感じるような人間と人間のぶつかり合いの”戦”を聴くことができました。
チェレスタやハープは明瞭で硬質、終曲《海王星》での女声コーラスは生々しい。わたしには2ndプレスラベルの方が全体を纏め包むような音だったので、好みます。ED-1の価格は10倍ほどします。カラヤンとウィーン・フィルの取り合わせだからプレス枚数も多かったのでしょう、大概においてジャケット、盤共に大変良いコンディション。ノイズも殆どありません。ジャケットは英DECCA盤はペラペラなので、また、経年変化でラミネートに入った空気が浮いているもの、端っこがはがれているものはあります。米LONDON盤は四隅もきっちりと合わせてあって、日本製のレコードジャケットよりもがっちりしています。
しかし、こういう曲だと本当にカラヤンは上手いの一言です。